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並外れた目で日常を。 吉岡さとるの作品には二面性が有る。 その一方で、彼は世界を旅しながら高エネルギー物理学研究所の内側と外側、太陽光の下と夜の薄気味悪い人工光の下での撮影をもおこなっている。それらの写真の中には、ほとんど人々はおらず、設備、日常的な作業域、通り、一般的な風景や建物が写されている。 「本来、写真を使って芸術作品を作りたい、そのように思って写真をはじめた」、熱心な彼は、1つのイメージの為に何時間もの時を費やす、「芸術作品を作る、それが目標、しかし、それが少し変わってきつつある」と彼は言った。 彼の物理学の写真は、希望としては「普通の人々が、本当に特別な場所と出会い、その出会いを記録として残したい」と彼は言った。高エネルギー物理学研究所へ訪れたほとんどの見学者達は、巨大な検知器など壮大な光景のみに目を奪われる。彼曰く、「しかし、見学者達は、ただの通りや建物の事などに関心はない」。だから、私は朝早く起きて研究所内を歩き回り、誰も見向きもしない場所を写真に撮り、ウエブに載せる。 吉岡はサンディエゴのパロマーカレッジで写真を学び、ベルリンの壁が壊される一日前から開催されたヨーロピアンフォトグラフィー'90展覧会に選ばれた。(前ページ下のイメージ) 彼と素粒子物理学への出会いは、2005年に彼の友人がカリフォルニアにあるスタンフォード線形加速器センター に彼を案内してからだ。 その後、彼はセルン(スイスのジュネーブにある欧州合同原子核研究機構 )、日本の高エネルギー加速器研究機構 や大強度陽子加速器施設を訪れた。それから、彼らの新婚旅行で訪れたニューヨークやナイアガラの滝などアメリカ名所めぐりの1つとして、イリノイ州にあるフェルミ国立加速器研究所をも訪れ撮影をおこなった。 セルンについては、「機械は本当に巨大だ」、「とにかく凄くて、想像を絶する凄さと美しさを兼ね備えている」と彼は言った。 彼のポラロイド作品の様に、研究所のデジタルイメージは彼によってコントラストを変えたり、カラーを強めたり、彼の解釈でイメージを作りこんでいく。 吉岡は一般の見学時間だけでは到底見つける事が出来ない奥まって人目につかない場所や、その細部を探し出す。普通だと一般見学の時間だけでは彼には時間が足りない、しかし、彼の外向的な性格のおかげで、何処ともなく彼を案内してくれる誰かを見つけだし、撮影するのに必要なだけの時間を与えられる。 例えばJ-PARCでは、「人々が本当に親切で、こっちへ来て!と進んで施設を見せてくれたりした」と彼は言う。その時の、彼の非公式の案内人達は、その中には、彼と同姓の加速器物理学者の吉岡氏などがおり、彼を施設の奥の奥まで案内し、直ぐに機械でいっぱいになるであろう未だ装置が設置されていない空っぽの施設の中を、彼に撮影させてくれたりしている。「施設の最も奥の所まで行く事が出来て、本当に幸運です」と彼は言う。 この8月には、日本とアメリカの現代の科学を研究するための戦略に焦点を当てた、UCLA - KEK - 総研大 / 国際シンポジウムとワークショップに招待され作品を発表した。そして、2008年度の高エネルギー加速器研究機構のカレンダーにも写真が採用され、そのデザインは彼の妻によってなされた。このカレンダーは一般には配られてはいないが、彼のイメージは彼のウエブサイトに紹介されているので、そこで見ることが出来る。 |
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Symmetry magazine : gallery: satoru yoshioka / Volume 05 Issue 01 January/February 08 | |
アメリカ合衆国エネルギー省 / フェルミ国立加速器研究所とSLAC国立加速器研究所により共同出版されている雑誌、Symmetry magazineに記事gallery: satoru yoshioka が掲載され、これはそれの日本語訳です。 |